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オープンしたての老人施設が劣悪環境どころではなかった体験について。

出産後、引っ越ししてから新しい土地に移り、病院を探していた時に、ちょうど家から5分ほどのところに「特別養護老人ホーム」が新しく建設されると知りました。
ちょうど、日勤パート看護師も募集していたので応募、面接、採用と流れるように決まり、運命めいたものを感じていました。

娘の保育園入園が決まり、実際に働きだしたのはオープンより1か月たったころでしたが、先に働き出していた先輩看護師に言われたのは
「医療品が全くないのよ……」
という事実でした。

『医務室』はあるのですが、洗面台と棚と机のみ。
診察台などのベッドもなければ、担架もない、医務室用の車いすもなければAEDもアンビューなどの蘇生器具もない。
さらに言うなら、酸素もなければ吸引機器もなく、聴診器、水銀血圧計もない。
もっというなら、ガーゼもなければ包帯もない。
消毒液もなければ、サージカルテープもない。絆創膏もない。
この状況で、今80過ぎしかいない利用者が誤嚥したり、転倒して大出血した場合、看護師にどう対処しろというのだ?という状況でした。

結局、先輩看護師が取り急ぎ「100円均一」で最低限も最低限な「消毒液」や「サージカルテープ」「ガーゼ」などを買い、施設長に説得して「吸引機」と「AED」だけは購入してもらったと聞きました。

さらにアンビューなどもほしいといったそうなのですが、施設長は
「それって本当に必要なの?」
と返答があったそうです。

施設長はケアマネ上がりで、医療に関しては全く無知で、こちら側が
「必要です!」
といっても
「でも高いし」
と渋って、結局、実際に転倒などの事故が起きるまで全く動いてくれませんでした。

また、施設長としての自覚が全くないのか、10割介護士の過失で転倒した利用者様の家族が、説明を求めに来た時も
「自分は(事故の詳細を)よくしらないから」
といって謝罪もせず、ほかの職員に
「訴えてくるかな?」
と言葉をもらしたりと、最低な対応でした。

そもそも、この老人ホームは病院併設や系列の施設ではなく、理事長も免許や資格を持っておらず、医療機器を「金額」でしかみていないところがありました。
結局、水銀血圧計は先に入職していた看護師が自宅から持ってくることになり、利用者が転倒して大出血した時などは、すぐに看護師が病院に運んで、病院に連れて行った看護師が頭を下げて
「毎日消毒したくても物品がないんです……」
と言ってイソジン消毒や、滅菌ガーゼ(大判)を受診病院からいただいたりと、恥ずかしい想いをたくさんしました。

施設は29床、ショートステイ利用が9床ありましたが、そのすべてを看護師4人でみてました。
看護師が単純に看護師業務しかしないのであれば、十分な人数なのかもですが、施設は介護士不足で、毎日介護士さんと同じように働いて、何かあった時だけ看護師として動かされてました。
もうほぼ介護士でした。

それでも時給は正看護師でも低く、残業代もでない。
利用者の急変時の対応だけでなく、家族への連絡や入院の手続き、医療機関への連絡、サマリーの作成まですべて一人でこなしてました。
パートで9時から16時まででしたが、入院などなればもちろん帰れるわけもなく……何度も娘を保育園にぎりぎりまで残して、延長料金を払ってました。

残業代もでないのに。私たちが遅くまで残っているのをみて、施設長は
「大丈夫?」
とは聞いてきますが、一切手伝いませんし(利用者家族への連絡すらしてくれない)、してくれても病院に搬送するときの送迎くらいで、残業代のことも絶対に自分からいいませんでした。

1年間そんな施設で働いてましたが、妊娠したので辞めました。
身重の体でも臨月まで働こう、と決めていましたがあの施設では無理だと判断しました。
正直いって、あの施設で働いているすべての職員はもちろん、入居されている利用者様、そのご家族様がかわいそうで仕方ないくらい劣悪です。

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