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精神科入院患者と共依存家族への看護師の上手な関わり方

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退院に向けて

私が精神科病院で日勤業務をしていたある日のことです。
その患者さんは統合失調症に罹患しており、症状が安定したため、退院に向けてご家族と外出訓練を行うという状況でした。

日勤業務が9時から就業開始となる中、外出の開始時刻は9時半からという申請になっておりました。
そして、私は申し送りを受け、リーダー業務を行いながら、主治医との連絡調整などを行なっていました。
すると、患者さんのご家族が、9時半前にいらっしゃいました。

家族の不満

通常、外出の際は注意点などお話しするため、数分お時間をいただくことになっております。
しかしながら、その患者さんのご家族は、
「何をやってるんだ。9時半という時間ぴったりに出たいんだ。ここの病院はどうなってるんだ」
と声を荒げて言いました。
そして、
「主治医を呼べ」
と私1人では対応できないような状況になってしまいました。
さらに患者さんはそのようなご家族に影響されて、
「今日私は外出に行かない方がいいみたい。少し落ち着かなくなってきた。薬をください」
と頓服の内服を必要とする状況になってしまいました。

私は患者さんの症状も考慮し、早急に上司の看護師長に報告をし、ご家族の対応をお願いしました。
そして私は患者さんの対応に専念することとなりました。
しかし、状況は改善せず、ご家族は主治医との面接を強く希望したため、主治医に面接の依頼をすることとなりました。
その間、私は上司に変わりご家族の訴えを傾聴します。
するとさらなる不満が出てきました。

その内容は、毎週主治医との面接をしたいとの要望でした。
これについては、精神科では、おおむね1週間ごとに患者さんとの面接を行うことが多々あります。
しかしながらご家族とのインフォームドコンセントについては、毎週行うことは通常は考えられません。
これらのことに対して、私たち看護師は実現不可能な要求をするご家族と捉えておりました。

共依存の関係

このご家族への対応について、スタッフ全員で検討し、精神科看護から分析をしたところ、患者さんとのご家族が共依存の関係にあり、患者さんの症状によってご家族も揺れ動いてしまうという状況を理解することができました。
そして、患者さんの症状安定への関わりおよび、時折理不尽な不満を言われることもありましたが、ご家族の気持ちに寄り添い、傾聴を行い、要望に対して対応可能かどうか何度もカンファレンスを行いました。

結果、理不尽な要求をすることは少なくなり、患者さんの症状も安定に導くことができました。

最後に、今回のケースでは、精神科ならではの家族関係があること分析し、それぞれ対応することで同様のトラブルを繰り返すことを防ぐことができることを学ぶことができました。
看護の基本である患者さんに寄り添うとはこのことなのかもしれません。

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この記事を書いた人

大学時代に看護学を学び、臨床経験も積む。その後、コミュニケーションスキルと情報発信の力を活かしたいと考え、編集ディレクターとしてのキャリアをスタート。看護師に関する様々なトピックに精通しており、看護実践、看護技術、看護教育、患者ケアの質向上など、幅広い分野に関する文章の編集に携わる。また、看護師のキャリアや働き方に関する情報も提供中。

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